理学療法士が余る時代|2040年問題で給料の天井が下がる前にやるべきこと

理学療法士の悩み

「理学療法士は国家資格だから、将来も安泰だろう」

そう信じてキャリアを積んできた方も多いと思います。

私自身もそうでした。

しかし今、その前提が静かに、しかし確実に崩れ始めています。

厚生労働省の推計では、2040年には理学療法士の供給数が需要の約1.5倍に達するとされています。

人口は減り、医療費には削減圧力がかかり、それでも理学療法士の数だけは増え続ける。

この構造の中で、給料の天井は今よりも確実に下がっていきます。

「AIに代替されないから安心」という声もあります。

確かにそれは正しいと思います。

しかし問題はAIではありません。

理学療法士が余る時代に、あなたの価値をどこで、誰に証明するか、という問題です。

この記事では、2040年問題の現実を正直にお伝えしたうえで、給料の天井が下がり切る前に今動くべき理由と、具体的な方向性をお伝えします。

この記事でわかること
  • ✅ なぜ理学療法士の供給過多が深刻なのか、数字と構造で理解できる
  • ✅ 医療制度の縮小が、給料の天井にどう影響するかがわかる
  • ✅ 「AIに代替されない」だけでは不十分な理由が腑に落ちる
  • ✅ 何もしないことのリスクと、今から動く意味が明確になる

理学療法士が余る時代はもう始まっている|2040年問題の現実

「2040年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

もともとは、団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年頃に、介護・医療の需要がピークを迎えるという社会問題を指す言葉です。

しかし理学療法士にとっての2040年問題は、少し異なる意味を持ちます。

需要が増えるにもかかわらず、供給がそれをはるかに上回る、という問題です。

厚生労働省「第3回理学療法士・作業療法士需給分科会」の推計によると、2040年頃には理学療法士・作業療法士の供給数が、需要数の約1.5倍に達するとされています。

そしてこの「供給過多」は、遠い未来の話ではありません。

厚労省の推計では、すでに2026年頃から理学療法士の供給が需要を上回り始めるとされており、都市部ではすでに就職競争の激化が始まっています。

新卒であっても「希望の病院に入れない」という声が増えているのが現実です。

なぜ理学療法士はここまで増えたのか

背景には、養成校の急増があります。

平成初期に全国で1,000名弱だった理学療法士の養成定員は、令和3年度時点で14,574名にまで増加しています。

学校の数も増え続け、入学定員を満たせない養成校が出るほどです。

毎年1万人以上の新しい理学療法士が誕生し続けるこの構造は、短期間では変わりません。

そこに、日本全体の人口減少が重なります。

患者数が増えない中で、理学療法士の数だけが増え続ける。

この単純な算数が、理学療法士が余る時代をもたらしています。

給料の天井はなぜ下がるのか|医療制度縮小という構造問題

供給過多になれば、給料が下がる。

これは市場の基本原理ですが、理学療法士の場合はさらに別の構造問題が重なっています。

医療制度の縮小です。

日本の社会保障費は年々増大しており、国の財政を圧迫し続けています。

高齢者が増えれば医療・介護へのニーズは上がりますが、それに見合った予算が確保されるとは限りません。

むしろ、診療報酬の抑制・削減という方向に政策が動くことが、現実として予測されています。

現在でも、理学療法士の給料が技術力に連動しない最大の理由は、診療報酬が固定されているからです。

あなたがどれだけ優れた施術を行っても、新人と同じ報酬しか病院に入ってきません。

病院はその固定された収入の中から給料を出すため、技術力が上がっても給料は増えないのです。

この構造に、診療報酬削減という追い打ちがかかれば、給料の天井は今より確実に下がります。

▶関連記事:技術を磨いても給料は上がらない|病院で評価されない理由と副業整体という選択肢

供給過多が「交渉力」を奪う

もうひとつ見落とせないのが、労働市場における交渉力の変化です。

理学療法士が不足していた時代は、「来てほしい」という病院側が条件を上げる構造でした。

しかし余る時代になれば、逆転します。

病院が選ぶ時代から、病院に選ばれる時代へ。

交渉力を失った労働者に、賃上げを求める力は残りません。

「国家資格=安定」という常識は、理学療法士が希少だった時代の話です。

その前提が崩れつつある今、過去の安心感をそのまま信じ続けることにはリスクがあります。

AIには代替されない|でもそれだけでは足りない理由

「理学療法士はAIに代替されない職業だ」

これは事実だと思います。

患者さんの表情を読み取り、状態の微妙な変化を感じ取り、言葉と手を使って信頼関係を築く。

このプロセスは、AIが完全に再現することはできません。

しかし、ここで立ち止まって考えてほしいことがあります。

「代替されない」ことと、「価値が高い」ことは、イコールではないということです。

世の中には、AIに代替されない仕事がたくさんあります。

しかしその中には、低賃金で過酷な仕事も多く存在します。

代替されないことは、価値の担保にはなりません。

価値を決めるのは、希少性と需要のバランスです。

需要はあっても、供給が需要をはるかに上回れば、価格(=給料)は下がります。

つまり、理学療法士がAIに代替されないという事実は、安心の根拠にはなりません。

それだけでは、給料の天井が下がるという現実を止められないのです。

「AIに代替されないから大丈夫」という言葉は、問題の本質から目を逸らすための、居心地のいい言い訳になってしまっている可能性があります。

何もしなければ衰退する|リハビリ業界の残酷な現実

供給過多が進んだ業界に何が起きるか。

歴史はいくつかの例を示しています。

かつて「安定した国家資格」として人気を集めた歯科医師は、養成校の乱立により深刻な供給過多に陥りました。

コンビニよりも多い歯科医院という現実がある中で、廃業・経営難に苦しむ医院は少なくありません。

理学療法士が同じ道を歩もうとしているとすれば、今から考えておく必要があることがあります。

供給過多の業界で起きることは、段階的です。

まず就職競争が激化します。

次に、病院が採用に強い立場を持つようになり、給与交渉力が低下します。

そして、働く条件が少しずつ悪化していく。

それでも「他に行き場がない」と感じれば、現状に甘んじるしかなくなる。

黙って待つことは、衰退を受け入れることと同義になっていく可能性があります。

もちろん、業界全体が一気に崩れるわけではありません。

しかし、じわじわと、気づいたときには取り返しのつかない状況になっている、というのが供給過多による衰退の典型的なパターンです。

リハビリ業界が今後どう変わるかは、誰にも断言できません。

しかし、何もしなければ現状よりも厳しくなる可能性が高いという事実からは、目を逸らさないほうがいいでしょう。

あなたの勤め先を求める顧客ではなく、あなた自身を求める顧客を作る

ここで、視点を変えてほしいと思います。

今、あなたのところに来ている患者さんは、「あなた」を選んで来ていますか?

それとも、「あなたの勤め先(病院)」を選んで来ていますか?

正直に答えれば、多くの場合は後者です。

保険診療の枠組みの中では、患者さんは担当セラピストを自由に選べません。

患者さんが病院や施設を選んだ結果として、偶然あなたが担当になる。

この構造の中では、あなたがどれだけ技術を磨いても、患者さんはあなた個人ではなく、あなたの所属する組織を信頼しているにすぎません。

「組織が消えたとき、あなたに残るものは何か」という問いに、今すぐ答えられますか?

私がこの問いを意識するようになったのは、副業整体を始めてからです。

副業整体では、来てくれる方は全員、「私個人」を選んで来ています。

病院ブランドも、組織の看板も、何もない。

あるのは、私という人間と、私の技術と、私との関係性だけです。

その環境で実感したのは、「あなた自身を求める顧客を持つことの、圧倒的な安心感」でした。

組織に何かあっても、自分を必要としてくれる人がいる。

その事実が、キャリアの土台をまったく別のものに変えてくれます。

病院を辞める必要はありません。

しかし、病院という組織ブランドだけに依存したキャリアを続けることの脆さを、今のうちに意識しておくことは重要です。

給料の天井が下がる前に、あなた自身を求める顧客を少しずつ作り始めることです。

それが、2040年問題を前にした現実的な一手だと私は考えています。

40代のキャリア戦略|今から動く人と動かない人の10年後

「40代になってから考えればいい」

そう思っているとしたら、少し視点を変えてほしいと思います。

スキルも顧客も、育てるのに時間がかかります。

副業整体を始めて1年半が経ちましたが、この期間に積み上げてきたもの、患者さんとの信頼関係、施術の経験、接客の感覚、収入の仕組みは、思い立った翌日には手に入りません。

40代は、経験・信頼・技術の三拍子が揃う、キャリアの中で最も力を持てる時期のひとつです。

しかしその力を、病院という組織の中だけで発揮し続けるのか。

それとも、外の世界に少しずつ開いていくのか。

この選択が、10年後のキャリアの幅を大きく変えます。

今から動く人が手にするもの
  • 病院ブランドに頼らない「指名される自分」
  • 本業以外の収入の柱
  • 2040年に向けた精神的・経済的な余裕
何もしない人に起きること
  • 給料の天井が下がり続ける環境への依存
  • 「他に行き場がない」という閉塞感
  • 選択肢のないまま迎える55歳・定年

もちろん、副業整体だけが答えではありません。

ただ、理学療法士という技術職にとって、自費診療の領域で「あなた自身を求める顧客」を作るという方向性は、最も再現性が高い現実解のひとつです。

40代のキャリア戦略について、より具体的な内容はこちらの記事で詳しく解説しています。

▶関連記事:理学療法士40代のキャリア|45歳から始めるセカンドキャリアの現実的な準備

まとめ

2040年問題は、遠い未来の話ではありません。

理学療法士の供給過多はすでに始まっており、医療制度への縮小圧力も現実として存在します。

「AIに代替されないから安心」という言葉は事実ですが、給料の天井が下がるという構造問題を解決する言葉ではありません。

何もしなければ、リハビリ業界は供給過多のまま、じわじわと厳しい方向へ向かっていく可能性があります。

だからこそ、今動く必要があります。

あなたの勤め先を求める顧客ではなく、あなた自身を求める顧客を作ること。

これが、給料の天井が下がり切る前に、今の理学療法士がやるべきことだと私は考えています。

病院を辞める必要はありません。

本業を続けながら、外の世界に少しずつ自分の技術を開いていく。

副業整体という選択肢は、その現実的な一歩になります。

派手さはありません。

しかし、地味で着実な積み上げが、10年後の選択肢を確実に広げてくれます。

まずは、何から始めればいいかを知ることから始めていきましょう。

▶関連記事:副業整体を知る