理学療法士の年収が上がらない本当の理由|年代・施設別データと現役14年目が感じるリアル

理学療法士の悩み

「また今月も給料は変わらない」

そう感じたとき、あなたはどうしましたか?

勉強会に参加して、技術を磨いて、患者さんからの「ありがとう」も増えた。

それでも給料は、入職したころとほとんど変わらない。

そんな経験をしている理学療法士は、決して少なくありません。

理学療法士として積み上げてきたものが、数字に反映されない。

この矛盾を、私自身も14年間感じ続けてきました。

この記事では、理学療法士の年収が上がらない「本当の構造的な理由」を、年代別・施設別のデータとともに整理します。

そのうえで、現役14年目の私がリアルに感じてきた給与の天井について、率直にお伝えします

「楽して稼ぐ方法」を紹介したいわけではありません。

ただ、現状を正しく把握することが、次の一手を考えるための出発点になると思っています。

理学療法士の平均年収はいくらか|最新データで確認する

まず、現状のデータを確認しておきましょう。

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含む職種区分)の平均年収は約443万円です。

内訳は月収約30.9万円、賞与約71.7万円となっています。

一方、国税庁の調査では、日本全体の給与所得者の平均年収は約460万円(令和5年分)。

理学療法士の平均年収は、全職種平均と比べて約17万円ほど低い水準にあります。

理学療法士の平均年収は「低くはないが、高くもない」という水準です。

ただし、この数字はあくまで平均です。

実際には、年代・施設・地域によって大きなばらつきがあります。

年代別に見る年収の変化|20代・30代・40代・50代の実態

理学療法士の年収は、年齢とともに緩やかに上昇します。

ただし、その「伸び率」が問題です。

役職に就かない限り、年収が大きく変わらない状態が続くことも珍しくありません。

また、50代でピークを迎えるとはいえ、生涯最高年収が600万円に届かないケースが多いというのが現実です。

他の職種と比べると、「積み上げが効きにくい」構造になっています。

施設別・規模別で年収はどう変わるか

理学療法士の年収は、「どこで働くか」によって100万円以上の差が生まれることがあります。

最も年収が高くなりやすいのは公立病院(公務員)か、インセンティブ制度のある訪問リハビリです。

一方、多くの理学療法士が勤務する一般病院・クリニックや介護施設は、平均を下回るケースも少なくありません。

また、施設の規模も影響します。

厚労省のデータでは、1,000人以上の組織での平均年収は約485万円と、10人未満の小規模施設と比べて数十万円の差があります。

なぜ理学療法士の年収は上がりにくいのか|構造的な3つの理由

ここが、この記事の核心です。

年収が上がりにくいのは、「努力が足りないから」ではありません。

医療・介護の制度が持つ「構造的な問題」が、年収の天井を作り出しています。

理由① 診療報酬という「固定された収益構造」

理学療法士の収入の多くは、診療報酬(保険点数)に基づいています。

1単位の単価は国が一律に決めており、どれほど技術が高くても、患者さんへの貢献度が高くても、1単位あたりの報酬は変わりません。

つまり、「売上を増やして給料を上げる」という仕組みが、制度の外側にある限り機能しにくいのです。

施設全体の収益は診療報酬の枠内で決まるため、個人の努力が賃金に直結しにくい構造になっています。

理由② 年功序列が主流の評価制度

多くの医療・介護施設では、給与は年功序列で決まります。

経験年数や役職が評価軸の中心であり、「技術力」「患者満足度」「臨床成果」が賃金に反映される仕組みは、ほとんど整っていません。

新人の時期と比べれば昇給はしますが、ある程度の年数を経ると昇給幅はほぼ横ばいになります。

役職(主任・科長など)に就かない限り、大きな変化は生まれません。

理由③ PTの供給過多と「飽和」の問題

理学療法士の数は、過去20年で急増しました。

2026年時点ですでに需給バランスが逆転したとも言われており、求職者が多い状況では施設側が給与を引き上げる動機が弱くなります。

需要と供給の関係から見ても、PTの賃金が大幅に上昇する見通しは現時点では楽観視できない状況です。

技術を磨いても給料に反映されない理由|現役14年目のリアル

ここからは、筆者のリアルな体験談です。


私自身、理学療法士として14年間、本業一本で働いてきました。

勉強会や外部研修にも積極的に参加し、技術には自信を持てるようになりました。

患者さんからの「先生のリハビリは違う」という言葉に、やりがいを感じてきました。

でも、給料明細を見るたびに感じていた違和感があります。

「患者さんの評価が上がっているのに、なぜ給料は変わらないのか」。

当初は「自分の努力がまだ足りないのかもしれない」と思っていました。

ただ、年数を重ねるうちに気づいたことがあります。

これは努力の問題ではなく、構造の問題だということです。

病院という組織において、理学療法士の「技術」は収益に直接つながりません。

どれほど患者さんのADLが改善されても、退院が早まっても、それが施術者個人の給与に反映される仕組みはほぼありません。

それどころか、患者さんへの貢献度が高ければ高いほど、担当件数が増えて負荷がかかる、という逆説的な状況も起こります。

「技術を磨けば報われる」という信念は、現場での充実感につながります。

しかし、収入という観点では、その信念が直結しない構造がある。

このことを、正直に伝えておきたいと思います。

年収の天井を感じたとき、私が考えた「次の選択肢」

「では、どうすればいいのか」という問いに、私が出した答えは「本業を続けながら、副業整体を始める」でした。

大切にしたのは、以下の3つの判断軸でした。

家族へのリスクを最小限にすること

✅本業(病院勤務)の強みを活かせること

✅「楽して稼ぐ」ではなく、技術と信頼で積み上げられること

副業整体では、診療報酬という制約がありません。

患者さんに満足していただくことが、そのまま収入につながります。

これは、病院勤務では経験できなかった感覚でした。

同時に、病院勤務の強みも改めて実感しています。

医師との連携、画像・検査データを踏まえた判断、急性期〜回復期の経験。

これらは、整体師としての信頼性と技術力に直結しています。

「本業をやめる」「独立する」という選択でなくても、収入の選択肢を広げることはできます。

これが、私がたどり着いた現実解です。

まとめ

理学療法士の年収が上がりにくい背景には、個人の努力だけでは変えにくい「構造的な理由」があります。

診療報酬という外から決まる収益の枠、年功序列中心の評価制度、そして増え続けるPTの供給。

これらが重なることで、技術や実績が給与に反映されにくい環境が生まれています。

だからといって、「諦めるしかない」ということではありません。

大切なのは、まず現状を正しく理解することです。

「自分の給料が低いのは、自分の努力が足りないからだ」と感じていたとしたら、それは少し違うかもしれません。

構造を知ることで、自分が本当に変えられることと、変えられないことが見えてきます。

私自身は14年間の本業を続けながら、副業として整体業を始めるという選択をしました。

「独立」でも「転職」でもなく、リスクを抑えながら収入の柱を一つ増やすという現実解です。

この記事が、今の働き方を見直すきっかけの一つになれば幸いです。

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データ出典

・厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査

・国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査

※本記事の年収データは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含む職種区分のデータを参考にしています。