理学療法士として20代後半になると、こんな悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。
新人の頃は、
という目標があったはずです。
ところが5年、6年、7年と経験を積むと、仕事には慣れてきます。
後輩を指導する立場になり、患者さんへの対応にも余裕が出てくる。
それなのに、ふと、「5年後も今と同じ働き方をしているのでは?」と感じることがあります。
私自身、理学療法士として14年間働いてきました。
そして5年目のとき、転職を経験しています。
当時の職場は人間関係も良く、決して「辞めたい」と思っていたわけではありません。
それでも転職したのは、理学療法士として、もっと臨床能力を高めたいという思いがあったからです。
この記事では、私自身の転職経験も交えながら、
✅20代の理学療法士がキャリアに迷う理由
✅20代で考えておきたいキャリアの選択肢
✅転職する前に確認したいこと
✅給料とキャリアをどう考えるか
✅20代のうちに身につけたい「専門性」
✅「28歳の期限」という考え方をどう捉えるか
✅30代以降に後悔しないために今できること
について解説します。
「今すぐ転職するべき」という記事ではありません。
今の職場に残ることも含めて、自分の将来を考えるきっかけにしてみてください。
理学療法士20代のキャリアは「今の職場を続けるか」だけではない
20代の理学療法士がキャリアを考えるとき、まず知っておきたいのは、キャリア=転職ではないということです。
例えば、20代には次のような選択肢があります。
つまり、「今の病院に残る」か「辞める」かの二択ではありません。
20代のうちに大切なのは、できるだけ早く答えを出すことではなく、「自分にはどんな選択肢があるのかを知ること」です。
選択肢を知らなければ、比較することもできません。
20代の理学療法士がキャリアに迷う3つの理由

では、なぜ20代の理学療法士はキャリアに迷いやすいのでしょうか。
私は大きく3つあると考えています。
① 国家資格があるからこそ現状維持しやすい
理学療法士は国家資格です。
資格を取得すれば、理学療法士として働ける場所を探すことができます。
この安心感は大きなメリットです。
一方で、「資格があるから、今の職場を辞める必要はない」という考えにもつながります。
もちろん、今の職場に満足しているなら、無理に環境を変える必要はありません。
問題なのは、「不満があるのに、資格があるからという理由だけで何となく残り続けること」です。
「なぜ今の職場に残るのか?」
この問いに答えられるようにしておきましょう。
② 病院の中にいると、外の選択肢が見えにくい
病院で働いていると、毎日の仕事に追われます。
朝からリハビリを行い、記録を書き、カンファレンスに参加し、後輩を指導する。
気づけば一日が終わります。
そんな生活を続けていると、「理学療法士には、他にどんな働き方があるのか?」を調べる時間がなくなります。
実際には、
など、理学療法士の経験を活かせる場所はさまざまです。
まずは「転職する」と決めなくても構いません。
外の世界を知るだけでも、キャリアの選択肢は増えます。
③ 「転職=逃げ」というイメージがある
医療職では、
と考える人もいます。
しかし、転職には、
といった目的があります。
重要なのは、「転職するかどうか」ではなく、「なぜ転職するのか」です。
目的が明確なら、転職はキャリアを考えるための一つの手段になります。
理学療法士20代の給料は?キャリアと収入を分けて考える
キャリアを考えるとき、給料も気になるところです。
厚生労働省の2025年「賃金構造基本統計調査」では、理学療法士について、30~34歳の所定内給与額は月約28.8万円、35~39歳では月約30.6万円となっています。
ただし、この統計は「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士」をまとめた職種区分です。そのため、理学療法士だけの平均給与として、そのまま扱うことはできません。
20代の段階では、まだ経験年数が短いこともあり、給与だけで勤務先を判断するのはおすすめしません。
例えば、「給料は高いけれど、臨床経験を積みにくい職場」と、「給料はそれほど高くないけれど、専門性を高められる職場」では、将来のキャリアに与える影響が異なる可能性があります。
だからこそ20代では、「今いくらもらえるか」だけでなく、「この職場で何が身につくか」も確認しておきたいところです。
理学療法士20代の転職は「給料」だけで決めない
転職を考えるとき、求人票の給与額はどうしても気になります。
もちろん給与は重要です。
しかし、20代の場合はそれだけで判断しない方がいいでしょう。
確認したいのは、次の5つです。

① どんな症例を経験できるか
自分が身につけたい専門性と、実際の症例が合っているかを確認します。
② 教育体制があるか
新人教育だけでなく、数年目以降の教育体制も確認しましょう。
③ 給与・昇給制度はどうなっているか
初任給だけではなく、昇給・賞与・手当・役職による給与差なども確認します。
④ 勤務時間や休日はどうか
長く働くには、仕事内容だけでなく生活とのバランスも重要です。
⑤ その職場で5年後の自分を想像できるか
「5年後もここで働いていたいか?」「ここで働くことで、どんな能力が身につくか?」を考えてみましょう。
これが意外と重要です。
私が理学療法士5年目で転職した理由
ここからは、私自身の経験です。
私は理学療法士5年目のときに転職しました。
当時の職場は、決して悪い環境ではありませんでした。
人間関係も良好でした。
同期や先輩、後輩にも恵まれていました。
患者さんとの関係も悪くありません。
それでも、「このままここにいて、理学療法士として成長できるのだろうか?」という疑問がありました。
きっかけになったのは、勉強会への参加です。
そこで出会った講師の先生から声をかけていただき、転職という選択肢が現実的になりました。
そこで改めて、「自分は理学療法士として、もっと臨床技術を磨きたい」と思いました。
転職することには当然、不安もありました。
それでも転職を決めたのは、「居心地がいいこと」と「成長できること」は、必ずしも同じではないと感じたからです。
転職して実際に変わったこと
転職して、私自身はいくつかの変化を感じました。
臨床の密度が上がった
新しい職場では、より高いレベルの臨床が求められました。
周囲の理学療法士から学ぶことも多く、「もっと勉強しなければ」と思える環境でした。
結果として、臨床能力を高めるきっかけになりました。
患者さんとの関わり方も変わった
以前の職場では、患者さんのことをある程度知った状態で関わることが多くなっていました。
新しい職場では、初対面の患者さんと一から関係を作ります。
その経験によって、「自分は患者さんとどう関係を作っているのか」を改めて考えるようになりました。
年収も変わった
私の場合、転職によって前職と比較して年収が約80万円上がりました。
資格も理学療法士のまま。
経験年数も大きく変わっていません。
それでも職場が変わることで、給与条件が変わりました。
この経験から、「今の給与が、自分の経験に対して妥当なのか?」を一度調べてみることは大切だと感じました。
ただし、これはあくまで私自身の転職経験です。
すべての理学療法士が転職によって同じように収入が上がるわけではありません。
転職しても変わらなかったこと
一方で、転職しても変わらなかったことがあります。
それが、「臨床技術が、そのまま給与に反映されるわけではない」ということです。
患者さんから、「あなたに担当してもらえてよかった」と言っていただくことは、とても嬉しいことです。
しかし、それによって翌月の給与が大きく上がるわけではありません。
病院勤務では、給与は組織の給与体系や職種・役職、制度などによって決まります。
そのため、「技術を高めること」と「収入を増やすこと」は、別々に考える必要があると感じました。
▶関連記事:【理学療法士の悩み】技術を磨いても給料は上がらない?病院で評価されない理由と副業整体という選択肢
この気づきは、後に私が30代でキャリアを考えるうえでも重要な経験になりました。
30代では、「自分の人材価値をどう作るか」というテーマがより大きくなっていきます。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶ 関連記事:理学療法士30代のキャリア|転職・給料・専門性から考える後悔しない働き方
20代の理学療法士が身につけたい「専門性」とは?
20代では、
と悩むこともあるでしょう。
もちろん、認定理学療法士や大学院への進学、各種資格の取得は、専門性を高めるための選択肢です。
ただし、資格を取得すること自体をキャリアの目的にしないことも大切です。
例えば、脳卒中の患者さんを多く担当するなら、「自分は脳卒中患者さんに対して、何ができる理学療法士になりたいのか?」と考えてみます。
患者さんや家族に分かりやすく説明することが得意なのか
専門性は、資格の数だけで決まるものではありません。
「この分野なら、この部分は自分に任せてもらえる」という強みを少しずつ作っていくことも、立派な専門性です。
20代では、資格を集めることだけを目標にするのではなく、日々の臨床を通して「自分は何ができる理学療法士になりたいのか」を考えてみましょう。
その答えが見えてくれば、必要な資格や勉強、経験も自然と選びやすくなります。
20代のうちにやっておきたい3つのこと

転職するかどうかに関係なく、私は20代の理学療法士に次の3つをおすすめします。
① キャリアの棚卸しをする
紙やメモに、
これまで経験した症例
を書き出してみましょう。
「自分には何もない」と思っていても、書き出すと意外な強みが見えてきます。
② 今の職場の外を見る
転職する必要はありません。
まず、
などをしてみましょう。
大切なのは、「転職するため」ではなく、「選択肢を知るため」に外を見ることです。
私自身も、勉強会への参加が転職のきっかけになりました。
③ 「どんな人生を送りたいか」から考える
キャリアを考えるとき、「どんな理学療法士になりたいか?」だけではなく、「どんな生活を送りたいか?」も考えてみてください。
例えば、
などです。
仕事は人生の一部です。
「理想の理学療法士像」だけでなく、「理想の生活」から逆算することも大切です。
「28歳までに職を決める」は本当?焦る必要はない

20代のキャリアについて調べていると、「28歳」という数字を目にすることがあります。
これは経済評論家の山崎元氏が示したキャリア論の一つです。
山崎氏は、30代前半を能力的な全盛期として、その時期を仕事を覚えた状態で迎えるために、適職を選ぶ一つの目安として「28歳」という考え方を示しています。元記事でもこの考え方を紹介しています。
ただし、「28歳を過ぎたら転職できない」という意味ではありません。
また、すべての理学療法士に28歳という期限が当てはまるわけでもありません。
キャリアは、
によって変わります。
だから私は、「28歳までに答えを出さなければいけない」と考えるより、「20代のうちに、自分の働き方について試行錯誤しておく」くらいに捉えるのがいいと思っています。
20代を過ぎてもキャリアは変えられる
もしこの記事を読んでいるあなたが、すでに20代後半だったとしても、焦る必要はありません。
30代になってから転職することもできます。
新しい領域を学ぶこともできます。
副業を始めることもできます。
私自身、30代になってから副業整体を始めました。
つまり、20代=最後のチャンスではありません。
むしろ、20代は「選択肢を増やす時期」と考えた方がいいでしょう。
20代で経験したことが、30代のキャリアにつながっていきます。
そして30代になると、
という次のテーマが出てきます。
▶関連記事: 理学療法士30代のキャリア|転職・給料・専門性から考える後悔しない働き方
20代の理学療法士は「転職するか」より「選べる状態」を作ろう
20代のキャリアで大切なのは、「今すぐ転職すること」ではありません。
それよりも、「転職する・残る・学ぶ・副業するなど、自分で選べる状態を作ること」が大切です。
そのためには、
というところから始めてみてください。
今の職場が好きなら、残ってもいい。
今の職場で成長できるなら、そこで経験を積んでもいい。
転職した方が成長できると思うなら、転職してもいい。
大切なのは、「なんとなく今の職場にいる」のではなく、「自分で選んで今の職場にいる」状態にすることです。
まとめ|理学療法士20代は「答えを出す時期」ではなく「選択肢を増やす時期」
理学療法士として20代を過ごしていると、「このままでいいのかな?」と不安になることがあります。
でも、その感覚は必ずしも悪いものではありません。
仕事に慣れたからこそ、「この先どうしたいのか?」を考えられるようになったということでもあります。
20代のうちに、
など、さまざまな選択肢を知っておきましょう。
私自身は5年目で転職しました。
さらに30代になってからは、本業を辞めずに副業整体という新しい選択肢にも挑戦しています。
だからこそ、今20代の理学療法士に伝えたいのは、「焦って答えを出す必要はない。でも、何も考えずに時間だけを過ごす必要もない」ということです。
20代は、これからのキャリアを決めつける時期ではありません。
自分が選べる道を増やす時期です。
その経験が、30代以降のキャリアを考えるときの土台になります。
そしてもし30代になって、「自分の経験を病院の外でも活かしてみたい」と考えるようになったら、副業という選択肢もあります。
私が実際に選んだ「副業整体」という働き方については、こちらで詳しく紹介しています。
▶ 関連記事:このブログの歩き方|理学療法士が副業整体を始めるための完全ガイド
「病院を辞めなくていい。でも、現状維持でもない。」
そんなキャリアの作り方もあります。



「このまま今の病院で働き続けていいのかな?」
「理学療法士として5年、6年と経験を積んだけど、これから何を目指せばいいのか分からない」
「転職した方がいいのか、それとも今の職場に残った方がいいのか……」