「この働き方を、あと何年続けるのだろう。」
40代を目前にした理学療法士なら、一度はこの問いが頭をよぎったことがあるはずです。
体力的な不安、役職定年、収入の頭打ち。
現場では十分な経験と信頼を積み上げているのに、組織の中での自分の「出口」が、なんとなく見えてしまっている。
山崎元先生は、「45歳からセカンドキャリアを考え始めることが重要で、そのために必要なのはスキルと顧客の2つだ」と述べています。
そして75歳くらいまで働き続けるための準備を、45歳から逆算して始める必要があると言っています。
私はまだ30代ですが、今まさにこの問いと向き合っています。
理想は独立。
しかし家族がいる中でのリスクも現実としてある。
だからこそ、副業整体という形で「スキルと顧客」を今から育てています。
本記事では、40代の理学療法士がセカンドキャリアをどう設計するか、そして今から準備できることは何かをお伝えします。
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【理学療法士の40代】「人材価値の回収期」に何が起きるか
山崎元先生のキャリア論では、35歳から55歳(役職定年)までの期間を「人材価値の経済的回収期」と位置づけています。
これは、30代までに確立した人材価値を、実際の収入・実績として回収していく時期という意味です。
しかし理学療法士の40代には、この「回収」がうまく機能しないという現実があります。
収入の頭打ちという現実
病院勤務の理学療法士の給与は、40代に入ると多くの場合、ほぼ横ばいになります。
年功序列で少しずつ上がってきた給与が、40代前半でピークを迎える。
そこから先は、役職に就かない限り大きな変化がない。
管理職を目指すにしても、ポストの数は限られています。
技術は10年前より間違いなく上がっている。
経験も、判断力も、患者さんへの貢献度も。
それなのに、給与という数字はほとんど変わらない。
このギャップが、40代の理学療法士に「虚しさ」をもたらす大きな要因です。
体力的な変化という現実
理学療法士は、身体を使う仕事です。
20代・30代と同じペースで働き続けることが、40代以降は少しずつ難しくなってきます。腰への負担、立ち仕事の疲れ、集中力の持続。
これは避けられない身体的な変化です。
「今と同じやり方で、あと20年働けるか」という問いに、正直に答えると、多くの人が「難しいかもしれない」と感じるはずです。
役職定年という現実
山崎先生の図では、55歳が「役職定年」として示されています。
これは医療業界でも例外ではありません。
管理職であっても、55歳前後で役職を外れるケースは珍しくない。
その後は給与が下がり、65歳の定年まで働き続けるという道が待っています。
この現実を、40代のうちに直視しておくことが、セカンドキャリアの設計において最初の一歩になります。
山崎元先生が言う「75歳まで働く準備」とセカンドキャリアの考え方
山崎元先生は、人生100年時代において「75歳くらいまで働く準備が必要」と述べています。

図を見ると、65歳以降も「セカンドキャリア」として働き続けることが前提として描かれています。
そして公的年金は繰り下げ受給が理想とされている。
つまり、65歳で定年退職してあとは年金で、という設計は、もはや現実的ではないということです。
では、75歳まで働くために何が必要か。
山崎先生はその答えとして、「スキルと顧客の2つ」を挙げています。
スキルとは、自分が提供できる専門的な技術・知識のことです。
理学療法士であれば、運動療法、手技療法、動作分析、疼痛へのアプローチなど、長年の臨床で積み上げてきたものがそのまま該当します。
顧客とは、自分を必要としてくれる人の存在です。
組織に属さなくなっても、「あなたに診てもらいたい」と言ってくれる人がいるかどうか。
これが、セカンドキャリアの安定を左右します。
そして山崎先生はもう一つ、「スキルの学び直しが必要」とも述べています。
今持っているスキルだけでなく、時代に合わせて学び続ける姿勢。
これが、長く働き続けるための土台になります。
理学療法士という専門職は、この3つの条件を満たせる可能性を十分に持っています。
問題は、それを病院の外でどう活かすか、という設計です。
理学療法士がセカンドキャリアで直面する3つの現実
セカンドキャリアへの理想を語る前に、現実も正直にお伝えします。
理学療法士が独立・開業・副業を考えるとき、必ずといっていいほど直面する壁があります。
① 資格があっても、独立は簡単ではない
理学療法士の資格は、病院の外でそのまま使えるわけではありません。
整体・ボディケアとして施術を行う場合、理学療法士法上の「理学療法」とは区別して提供する必要があります。
開業するにしても、自費診療の仕組み、料金設定、集客、経理など、臨床以外のことを一から学ぶ必要が出てきます。
「技術さえあれば独立できる」というのは、残念ながら現実ではありません。
技術は必要条件ですが、十分条件ではないのです。
② 顧客ゼロからのスタートという怖さ
病院では、患者さんは自然と来てくれます。
しかし独立すると、誰かが来てくれる保証はありません。
自分で集客し、自分で関係を作り、自分でリピートにつなげる。
この一連の流れを、ゼロから構築しなければならない。
「技術には自信があるが、集客は全くわからない」という理学療法士は多く、これがセカンドキャリアへの最初の壁になります。
③ 家族・収入・リスクという制約
独立への理想があっても、現実には守るべきものがあります。
家族の生活費、住宅ローン、子どもの教育費。
これらを抱えたまま、本業を辞めて独立に踏み切ることは、大きなリスクを伴います。
「やってみたい」という気持ちと「失敗できない」という現実の間で、踏み出せずにいる理学療法士が多いのは、当然のことです。
これらの壁を「だから無理」と受け取るのではなく、「だから順序が大切」と捉えてほしいのです。
理想はフルで独立|でも現実解は「副業整体」という選択肢
私の理想は、独立です。
自分の技術と信頼関係だけで患者さんと向き合える場所を作ること。
病院という組織の評価制度に依存せず、自分の価値を自分で証明できる働き方をすること。
しかし現時点では、家族がいる中でのリスクを考えると、本業を辞めて一気に独立に踏み切ることは現実的ではありません。
だからこそ、今の私の現実解が「副業整体」です。
本業(病院勤務)を続けながら、副業整体を積み上げていく。
収入の柱を2本にしながら、技術・顧客・経験を少しずつ育てていく。
「いつか独立できる状態」に向けて、リスクを最小限に抑えながら準備を進めていく。
これは、「楽して稼ぐ」でも「独立を急ぐ」でもありません。
家族・本業・リスクを踏まえた上での、現実的な一歩。
副業整体は、独立への通過点として、あるいは独立が難しくても「自分の価値を市場で確かめる場」として、理学療法士のセカンドキャリアにおける有力な選択肢だと考えています。
副業で得た経験・収入・顧客との関係は、たとえ独立に至らなくても、あなたの人材価値を確実に高めてくれます。
独立はゴールではなく、あくまで選択肢の一つ。
副業整体を続けながら、その先の道を見極めていく、というスタンスが現実的です。
セカンドキャリアに必要な「スキル」を今から磨くということ
山崎先生が言う「スキル」は、専門技術だけを指しません。
個人として、組織を離れても通用するスキルという意味です。
理学療法士として病院に勤めていると、臨床技術は磨かれます。
しかし、個人で仕事をするために必要なスキルは、病院の中ではなかなか育ちません。
セカンドキャリアを見据えたとき、特に意識して磨いておきたいスキルが3つあります。
接客・コミュニケーション力
病院では、患者さんが来てくれることが前提です。
しかし副業・独立の世界では、来てもらうこと自体を設計しなければならない。
「また来たい」と思ってもらえる接客力、初回から信頼を築くコミュニケーション力は、臨床技術と同じくらい重要なスキルです。
副業整体を通じて、私はこのスキルを実践の中で磨いています。
施術の技術だけでなく、話し方、聴き方、空間づくり。これらは、やってみて初めて身につくものです。
関係を長く続ける力
一度来てくれた患者さんに、また来てもらえるかどうか。
これが、個人で仕事をする上での生命線です。
信頼関係を長期的に育てる力は、短期間では身につきません。
30代・40代のうちから意識的に取り組むことで、少しずつ蓄積されていくものです。
経営・数字の感覚
収入と支出の管理、料金設定、時間あたりの収益の考え方。
これらは病院勤務では意識する機会が少ないですが、独立・副業では欠かせません。
「経営の感覚」を早いうちから身につけておくことが、セカンドキャリアの安定につながります。
セカンドキャリアに必要な「顧客」を今から作るということ
スキルと並んで重要なのが、「顧客」の存在です。
山崎先生は、セカンドキャリアに必要な2つの要素として「スキルと顧客」を挙げています。
どれだけ技術があっても、それを必要としてくれる人がいなければ、仕事は成り立ちません。
私の副業整体は、SNSでの集客を一切行っていません。
すべて紹介制で運営しています。
紹介制というのは、既存の患者さんや知人からの口コミだけで新規の方をお迎えするやり方です。
一見すると集客力が弱そうに見えますが、実際には非常に安定した顧客基盤を作ることができます。
なぜなら、紹介で来てくれる方はすでに一定の信頼を持ってきてくれるからです。
初回からの関係構築がスムーズで、リピートにもつながりやすい。
そして何より、紹介が生まれるということは、「あなたに診てもらってよかった」という評価が実際にあるということです。
これは、自分の人材価値への最大の証明になります。
顧客を作るための具体的な方法については、別記事にて詳しくご紹介しています。
ここでお伝えしたいのは、「顧客は今日明日でできるものではない」ということです。
30代のうちから、信頼を積み上げること。患者さんとの関係を丁寧に育てること。
それが、40代・50代のセカンドキャリアにおける顧客基盤になっていきます。
▶関連記事:【副業整体師が教える】本業バレしない集客方法|SNS不要で安心開業
40代になる前に、今から動き始める理由
セカンドキャリアの準備は、40代になってから始めるのでは遅い、というのが私の考えです。
理由はシンプルです。
スキルも顧客も、育てるのに時間がかかるから。
副業整体を始めて1年半が経ちました。
この1年半で積み上げてきたもの、患者さんとの信頼関係、施術の経験、接客の感覚、収入の仕組みは、今日始めても明日には手に入りません。
種をまいた時期が早ければ早いほど、実を結ぶ時期も早くなる。
逆に、45歳になってから「さあ、始めよう」と思っても、種をまいていなければ実は実らない。
山崎先生の図が示すように、45歳はセカンドキャリアを「考え始める」タイミングです。
しかし考え始めてから準備するのではなく、考え始める前から準備が整っている状態が理想です。
私がまだ30代のうちに副業整体を始め、この記事を書いているのも、そういう理由からです。
「独立したい」という理想がある方は、今すぐ独立する必要はありません。
ただ、今すぐ準備を始める必要はあります。
副業という形で小さく始めること。
外の世界で自分の技術を試すこと。
顧客との関係を少しずつ育てること。
この積み重ねが、40代・50代のキャリアの選択肢を確実に広げてくれます。
まとめ
セカンドキャリアは、40代になってから考え始めるものではありません。
山崎元先生が言うように、45歳からセカンドキャリアを「考え始める」ためには、30代のうちから「スキルと顧客」を育てておく必要があります。
そしてそれは、大きなリスクを取ることなく、副業という形から始めることができます。
私自身はまだ30代ですが、「理想は独立」という未来を見据えながら、今できることを副業整体という形で積み上げています。
月に数万円の収入よりも大切なのは、「自分の技術で、誰かの役に立ち、対価をいただける」という経験と自信です。
理学療法士という資格と臨床経験は、病院の外でも十分に価値があります。
ただし、その価値は黙っていれば誰にも届かない。
今から少しずつ、自分の技術を世の中に開いていくことが、40代・50代の選択肢を増やすことに直結します。
「楽して稼ぐ」ではなく、「今の技術を、もっと多くの人のために使う」という視点で、セカンドキャリアの準備を始めてみてください。


