理学療法士は副業できる?禁止されるケースと就業規則の確認方法を解説

理学療法士の悩み

「理学療法士は副業できるの?」

「病院で働きながら整体を始めたいけれど、職場に禁止されていないか心配……」

「もし就業規則に違反したら、懲戒処分になるの?」

副業を考え始めた理学療法士なら、このような不安を感じることがあるのではないでしょうか。

結論からいうと、副業そのものを一律に禁止する法律はありません。

副業・兼業|厚生労働省

厚生労働省も、副業・兼業について、労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であり、原則として副業・兼業を認める方向が適当としています。

ただし、これは「理学療法士なら誰でも自由に副業できる」という意味ではありません。

勤務先の就業規則や労働契約、公務員としての身分、本業への影響、秘密保持、競業などによって、副業が禁止・制限される場合があります。

この記事では、病院で理学療法士として働きながら副業整体をしている私の経験も踏まえ、

✅理学療法士は副業できるのか

✅副業が禁止・制限されるケース

✅就業規則のどこを確認すればいいのか

✅副業を始める前に確認したい5つのポイント

✅副業禁止の職場で始めるとどうなるのか

✅私が副業整体を始める前に確認したこと

について、できるだけわかりやすく解説します。

理学療法士は副業できる?

まず、一番気になるところから確認しましょう。

理学療法士だから副業禁止という法律はない

理学療法士は国家資格ですが、「理学療法士は副業をしてはいけない」と定めた法律があるわけではありません。

副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業・兼業に関する裁判例を踏まえ、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に自由であり、原則として副業・兼業を認める方向で検討することが適当とされています。

つまり、「理学療法士だから副業できない」という単純な話ではありません。

ただし、ここで注意したいのが、「法律上、副業そのものが一律禁止されていない」ことと、「自分の勤務先で副業が認められている」ことは別という点です。

勤務先によっては、副業を禁止していたり、事前の許可・届出を必要としていたりします。

そのため、副業を始めたいと思ったら、最初に確認するべきなのは「理学療法士の資格」ではなく、自分が働いている職場のルールです。

理学療法士の副業が禁止・制限されるケース

では、どのような場合に副業が問題になるのでしょうか。

厚生労働省のガイドラインでは、労務提供への支障、秘密保持、競業など、一定の場合には副業・兼業を禁止・制限することが考えられています。

代表的なのは次のようなケースです。

① 就業規則で副業を禁止している

もっとも分かりやすいのが、勤務先の就業規則で副業・兼業を禁止しているケースです。

例えば、

副業・兼業を禁止する

他の事業所で勤務してはいけない

許可なく他の業務に従事してはいけない

などの規定がある場合です。

ただし、「副業禁止」と書いてあるからといって、どのような場合でも直ちに問題になると単純に判断できるわけではありません。

実際には、就業規則の具体的な内容や、副業の内容、本業への影響などを確認する必要があります。

そのため、「副業禁止と書いてあるから諦める」でも、「副業禁止だけど黙って始める」でもなく、まずは規定の内容を正確に確認することが大切です。

② 副業が本業に支障を与える

副業によって疲労が蓄積し、本業に支障が出る場合も注意が必要です。

例えば、

夜間に長時間働いて翌日の勤務に影響する

睡眠不足で仕事中の集中力が低下する

本業の遅刻や欠勤が増える

業務上のミスが増える

といったケースです。

厚生労働省も、副業・兼業による長時間労働を避け、労働者自身が業務量や健康状態を管理することが重要だとしています。

特に理学療法士は、患者さんの身体に直接関わる仕事です。

「副業で疲れているけれど、本業はなんとかこなせる」という考え方ではなく、本業の安全と質を維持できる範囲で副業を行うことが重要です。

③ 勤務先の患者情報や秘密情報を副業で利用する

これは医療職だからこそ、特に注意したいポイントです。

例えば、

本業で知った患者さんの情報を副業で利用する

勤務先の患者さんを無断で副業先へ誘導する

勤務先の内部情報を副業の集客に利用する

患者さんの個人情報をSNSやブログで公開する

といった行為です。

副業をする場合でも、本業で知り得た秘密情報を適切に管理する必要があります。

厚生労働省も、副業・兼業における重要な留意点として秘密保持義務を挙げています。

理学療法士の場合は、「患者さんの情報を持ち出さない」という意識を特に強く持っておきたいところです。

④ 勤務先と競合する副業を行う

もう一つ注意したいのが「競業」です。

例えば、

勤務先の近隣で同じようなサービスを提供する

勤務先の顧客を副業へ誘導する

勤務先のノウハウや営業情報を利用する

など、勤務先の利益を不当に害するような副業は問題になる可能性があります。

厚生労働省のガイドラインでも、副業・兼業における競業避止義務について触れられており、労働者の職種や地位なども考慮することが望ましいとされています。

「理学療法士として身につけた知識や技術を副業で活かすこと」そのものが問題なのではありません。

重要なのは、本業の利益を不当に侵害するような副業になっていないかという点です。

▶関連記事:私が副業整体を始めたきっかけ|本業の理学療法を続けながら「予防」と「アフターケア」に関わる理由

就業規則のどこを確認すればいい?

副業を考えたら、まず勤務先の就業規則を確認しましょう。

モデル就業規則|厚生労働省

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法第89条により就業規則の作成・届出が必要です。厚生労働省もモデル就業規則を公開しています。

では、実際にどこを見ればいいのでしょうか。

まず確認したい5つのポイント

1.副業・兼業に関する規定

最初に確認するのは、もちろん「副業・兼業」です。

ここで、

原則禁止

許可制

届出制

原則自由

一定の条件付きで認める

など、勤務先の基本的なルールを確認します。

「副業」という言葉だけでなく、兼業、他の事業への従事、営利活動、他社勤務などの表現が使われていないかも確認しましょう。

2.許可・届出のルール

副業そのものは禁止されていなくても、「事前に申請・届出が必要」という職場があります。

例えば、

「副業を始める場合は所属長を経由して申請する」

「副業の内容を人事部へ届け出る」

などです。

この場合、勝手に始めるのではなく、決められた手続きを行う必要があります。

厚生労働省も、副業・兼業の有無や内容を確認するため、届出などの仕組みを設けることが望ましいとしています。

3.服務規律・職務専念に関する規定

副業の項目だけではなく、

服務規律

職務専念

信用保持

秘密保持

などの項目も確認しておきましょう。

副業そのものを禁止していなくても、本業の信用を損なう行為や、本業に支障を与える行為について別の規定が設けられている場合があります。

4.競業避止に関する規定

勤務先と競合する副業を考えている場合は、競業に関する規定も確認します。

特に、「勤務先と同じようなサービスを提供する副業をしても問題ないのか?」は確認しておきたいポイントです。

整体や自費サービスなど、理学療法士の知識・技術を活用する副業を考えている人は、勤務先との関係を一度整理しておくと安心です。

5.懲戒に関する規定

最後に確認しておきたいのが懲戒規定です。

副業禁止に違反した場合に、どのような扱いになるのかを確認します。

ただし、「副業禁止に違反した=必ず懲戒解雇」という単純な話ではありません。

副業の内容、就業規則の規定、違反の程度、本業への影響など、さまざまな事情を踏まえて判断されることになります。

だからこそ、「バレなければ大丈夫」と考えるのではなく、最初に勤務先のルールを確認することが大切です。

就業規則に「副業禁止」と書いてあったらどうする?

ここは非常に悩むところです。

もし就業規則に、「許可なく他の会社等の業務に従事してはならない」などの規定があった場合、「じゃあ副業は絶対にできないのか?」と思うかもしれません。

副業・兼業と労働条件|厚生労働省

しかし、厚生労働省のガイドラインでは、裁判例を踏まえて、労働時間以外の時間をどう利用するかは基本的に労働者の自由であり、企業側も副業・兼業を原則認める方向で就業規則等を見直すことが望ましいとされています。

一方で、労務提供への支障、秘密漏洩、競業などの事情があれば、副業を禁止・制限することが考えられます。

そのため、「副業禁止と書いてある=すぐに隠れて副業する」という判断はおすすめできません。

まずは、

就業規則の具体的な文言を確認する

許可制・届出制ではないか確認する

副業の内容が禁止対象に該当するか確認する

必要なら人事・総務などに確認する

という順番で進めるのが安全です。

公務員の理学療法士は副業できる?

ここは民間病院で働く理学療法士とは分けて考える必要があります。

公務員には、民間企業で働く労働者とは異なる兼業規制があります。

特に国家公務員については、人事院が兼業に関する制度を定めています。

人事院

なお、2026年4月から国家公務員の自営兼業について制度の見直しが行われています。人事院は、職員の知識・技能を活かした自営兼業や社会貢献につながる自営兼業について、新たな承認基準を設けています。

したがって、「公務員は副業完全禁止」と一括りにするのも正確ではありません。

一方で、国家公務員・地方公務員ではそれぞれ適用される制度や許可・承認のルールが異なるため、公務員の理学療法士が副業を検討する場合は、自分の所属先の規定を必ず確認しましょう。

私が副業整体を始める前に確認したこと

ここからは、私自身の経験です。

私は理学療法士として病院勤務を続けながら、副業として整体を始めました。

副業を始めると決めたとき、最初に考えたのは、「どうやってお客さんを集めよう?」ではありませんでした。

それより先に、「そもそも今の職場で副業をして問題ないのか?」を確認しました。

私が確認したのは、

就業規則

副業・兼業に関する規定

許可や届出の必要性

本業との競合

勤務時間への影響

患者さんの個人情報や勤務先の情報を副業に利用しないこと

などです。

副業は、始めようと思えばすぐ始められる仕事もあります。

しかし、本業を続けながら副業をするなら、「始めること」より「問題なく続けられる状態を作ること」の方が大切だと私は考えています。

私自身、家族がいる中で副業を始めました。

だからこそ、「副業で一気に稼ぐ」というより、「本業を守りながら、無理なく副業を育てる」ことを重視しました。

理学療法士が副業を始める前に確認したい5つのこと

ここまでの内容を整理すると、副業を始める前に次の5つを確認しておくとよいでしょう。

CHECK① 就業規則を確認する

副業・兼業について、禁止・許可制・届出制・条件付き・原則自由のどれなのかを確認します。

CHECK② 許可・届出が必要か確認する

副業が認められていても、事前申請が必要な場合があります。

「副業OKだから何もしなくていい」とは限りません。

CHECK③ 本業に支障が出ないか考える

勤務時間、睡眠、休日、体力などを考慮して、副業の時間を決めましょう。

CHECK④ 勤務先との競合や情報管理を確認する

患者さんの個人情報や勤務先の内部情報を副業に利用しないこと。

また、勤務先との競合関係が生じないかも確認します。

CHECK⑤ 副業の内容が勤務先のルールに抵触しないか確認する

「整体なら大丈夫」「アルバイトなら大丈夫」と決めつけず、実際に行う仕事内容まで確認することが重要です。

副業を始めるなら「バレない方法」より「問題を起こさない方法」を考える

副業について調べていると、

「会社にバレない方法」

「副業を隠す方法」

といった情報を目にすることがあります。

確かに、副業が職場に知られることを不安に感じる人は多いでしょう。

しかし、私は、「どうすればバレないか」よりも、「どうすれば本業と副業を無理なく両立できるか」を考えることをおすすめします。

副業を隠すことに意識が向きすぎると、

就業規則を確認しない

必要な届出をしない

本業との競合を考えない

患者情報の取り扱いを軽視する

無理なスケジュールで働く

といった、本来避けるべき問題につながる可能性があります。

副業を長く続けたいなら、「バレない副業」ではなく「問題になりにくい副業」を目指すことが大切です。

まとめ|理学療法士の副業は「まず就業規則の確認」から

理学療法士だからという理由だけで、副業そのものが一律に禁止されているわけではありません。

一方で、実際に副業できるかどうかは、

勤務先の就業規則

労働契約

許可・届出のルール

本業への支障

秘密保持

競業関係

公務員の場合は兼業に関する規定

などを確認する必要があります。

特に、これから副業整体を始めたい理学療法士は、

①就業規則を確認する

②必要な手続きを確認する

③副業の仕事内容を整理する

④本業への影響を考える

⑤問題がないことを確認してから始める

という順番がおすすめです。

副業は、勢いだけで始める必要はありません。

本業、家族、健康、職場との関係を考えながら、「無理なく続けられる形」を作ることが大切です。

私自身も、病院で理学療法士として働きながら、副業として整体を始めました。

そして実際に副業を続けてみると、本業で培った理学療法士としての知識や経験と、副業整体で身につけた接客・集客・経営の経験には、思っていた以上の相乗効果がありました。

もしあなたが、「理学療法士として働きながら、実際に副業整体を始めてみたい」と考えているなら、次は「副業できるか」だけではなく、「何から準備して、どの順番で始めればいいのか」を考える段階です。

私が実際に副業整体を始めるまでに考えたこと、準備したこと、そして現在までの経験をまとめています。

▶関連記事: 理学療法士が副業整体を始めるための完全ガイド|このブログの歩き方

副業について調べ始めたばかりの方は、まずこちらから読んでみてください。


この記事の参考・出典

この記事では、主に以下の公的資料を参考にしています。

出典一覧

厚生労働省「副業・兼業

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン

厚生労働省「モデル就業規則

厚生労働省「副業・兼業と労働条件

人事院「服務・懲戒

人事院規則14-8「営利企業の役員等との兼業」の運用

なお、副業・兼業をめぐる制度や勤務先の規定は変更される可能性があります。実際に副業を始める際には、最新の法令・勤務先の就業規則等を確認してください。

免責事項

この記事は副業・兼業に関する一般的な情報をまとめたもので、個別の法律相談を行うものではありません。実際に副業を始める際は、勤務先の就業規則・労働契約等を確認し、必要に応じて勤務先の人事・総務や専門家へ確認してください。